TMT建設地はマウナケアに

(注) TMT公式ページ(英語)で発表された速報の和訳版です。
原文(英語) : Thirty Meter Telescope Selects Mauna Kea

2009年7月21日

カリフォルニア州パサデナより

 Thirty Meter Telescope(TMT; 30m望遠鏡)評議委員会は、マウナケア(ハワイ)とセロ・アルマソネス(チリ)の2つの傑出した建設候補地の評価と比較を慎重に行った結果、マウナケアをTMTの第一建設候補地として選びました。このTMTは世界で最も高性能かつ最先端の望遠鏡になると期待されています。

 TMTが2018年に完成した暁には、我々天文学者は宇宙最初の星や銀河を発見し、太陽の近くにある恒星の周囲の惑星の誕生を研究し、さらに、物理学の基本法則を数多く検証することができるようになるはずです。

 これらのすばらしい観測成果を得るために、TMTでは最新の精密制御技術、分割主鏡方式、地球大気による光の歪みを補正する補償光学を組み合わせます。それによって、あたかも望遠鏡が大気圏外にあるかのように宇宙を調べることができるようになります。2台のKeck望遠鏡で成功した技術を生かして、TMTは492枚の分割鏡を組み合わせた直径30mの望遠鏡となります。その集光力は、現在最大の望遠鏡の9倍にも達します。

 TMTが最高の性能を発揮できる建設地を決めるために、まず人工衛星による候補地調査を行いました。その中から5か所の候補地を選び、大気の安定性、風の傾向、気温の変化など、望遠鏡の性能に影響を与える気象特性を地上からより詳しく調査しました。

 これらの結果と他の長期間のデータを基にして、2008年5月に候補地をマウナケアとセロ・アルマソネスの2地点に絞りこみました。そして、さらなる評価と、環境・経済・文化に対する影響調査を行いました。これらの綿密な調査結果は、TMT評議委員会による最終的な建設地決定の過程で活用されました。

 「これまでの全ての情報を総合すると、両候補地ともに天文学研究の上で世界で最適な場所であることは明らかでした。」とエドワード・ストーン、カリフォルニア工科大学物理学教授・TMT評議会副委員長は述べています。「双方ともに観測条件は大変素晴らしく、TMTが最高の性能を発揮し宇宙の神秘を解き明かす上で申し分ありません。」

 「最終的な検討の結果、TMT評議委員会はマウナケアをTMTの建設地として選びました。マウナケアの寒冷、かつ、極めて低い湿度を併せ持つ気象条件は、補償光学技術と赤外線観測による研究に新しくエキサイティングな発見の境地を切り開くことになるでしょう。TMT計画のパートナーがすでにマウナケアで運用している望遠鏡と組み合わせることで、発見の可能性はさらに高まるでしょう。」(ストーン)

 TMT評議会委員長を務めるカリフォルニア大学サンタ・バーバラ校学長のヘンリ・ヤンは、今回の決定に興奮を隠せません。「TMTチームの科学者と技術者は、望遠鏡建設の鍵となる要素技術の設計・試作を行ってきました。TMT評議会がマウナケアを建設地に決めたことは、すなわち、建設許可に必要な全ての手続きが完了し次第、建設を開始する準備ができたことを表明したことになります。TMT計画を支援してきたムーア財団に心から感謝する次第です。また、関係する研究者、ハワイ地元の皆さん、教育関係者、企業、組合、政界の方々、寄付して下さった方々のおかげでこのたびの建設地決定を迎えることができました。感謝申し上げます。TMT評議会はハワイの人々が大切にするマウナケアの固有の文化と歴史に深い敬意を表し、ハワイの福祉と教育に毎年寄金することを決定しました。

 マウナケアでのTMT建設を始めるためには、保護地区使用許可(CDUP)をハワイ州土地天然資源局(DLNR)に提出し、承認されねばなりません。この手続きは、ハワイ大学ヒロ校の一部として山頂地区を管理するために設置されたマウナケア管理事務所(OMKM)を通じて行います。

 「TMT建設候補地選定の過程で、ハワイ及びチリの両方の関係者と政府・行政当局から多大な支援を戴いたことを心より感謝します。」TMT評議会メンバー・カナダ大望遠鏡計画代表のレイ・カールバーグ教授は述べています。「TMTが世界で最初の次世代超大型望遠となると思うと期待に胸が高鳴ります。」

 TMT計画はカリフォルニア工科大学、カリフォルニア大学、および、カナダの天文学大学連合(ACURA)の共同計画です。日本の国立天文台(NAOJ)は協力機関として2008年からTMT計画に参加しています。

 「TMTの建設地としてハワイを第一候補地に選んだことにより、天文学での国際協力がおおいに進展するでしょう。すでにマウナケアで大活躍しているすばる望遠鏡とTMTの連携により、研究上の新たなブレークスルーがいくつも生まれるはずです。」国立天文台の超大型望遠鏡計画代表である家正則教授は期待を語りました。

 TMT計画は、ゴードン・ベティ・ムーア財団からの5000万ドル、カナダからの2200万ドルを主とする支援を得て、7700万ドルを費やした設計・基礎開発段階を完了しました。計画はゴードン・ベティ・ムーア財団が新たに2億ドルの寄付を約束したことにより、建設準備段階に入りました。カリフォルニア工科大学とカリフォルニア大学は、それぞれ5000万ドルを拠出して建設準備予算3億ドルを確保する予定です。また、カナダはドーム、望遠鏡構造、ファーストライト時の補償光学系を製作し提供する予定です。

 TMTは概念設計と基礎開発を支援した以下の機関に感謝します: ゴードン・ベティ・ムーア財団、カナダ・イノベーション基金、オンタリオ研究開発機構、カナダ自然研究会議、カナダ自然科学・工学研究会議、ブリティッシュ・コロンビア知識開発財団、米国天文学大学連合、および全米科学財団

The TMT project is a collaboration of Caltech, University of California (UC) and the Association of Canadian Universities for Research in Astronomy (ACURA). © Thirty Meter Telescope

原文(英語) : Thirty Meter Telescope Selects Mauna Kea


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